2009年1月24日土曜日

Broの肖像(Brooksのグリップ 江戸の粋)


 人間の脚力で動く自転車は人間にとても近い乗り物です。特に自転車と身体が直接触れるサドル、ペダル、グリップといった部分からは自転車の状態が直に伝わってくるため、走行中は正に人馬一体(人輪一体)です。
 自転車のグリップは舵取りやブレーキ操作等、自転車を安全に走らせるためには欠かせない操作面は勿論、人と自転車が身体的にコンタクトをする重要な部分でもあります。

 写真のグリップは先日Blogに載せたサドルと同じブルックスが作ったグリップです。ブロンプトンの純正グリップはウレタンのような素材で出来きた少し細めのグリップで、手の小さい人や女性には握った感じが優しく握りやすいグリップになっています。一方で手の大きな男性には少々華奢で頼りない感じがします。私はサドルをブルックスに交換した際にサドルと同じグリーンの革を使ったこのグリップに交換をしました。

 このグリップは発想が大変ユニークで造りも凝っています。何がユニークなのか?握ぎり部分の革は、ブルックスの工場でサドルを製造する際に出る端切れを使っています。よって革の部分はブルックスのサドルと同じです。革は中心にハンドルを通す穴が空いたリング状の形に裁断してあり、このリングを複数重ねて握りとして使います。握りの長さはリングの枚数を変えることで調整が可能です。また、握りが回転しないように3本のスポークを使ってリングを串刺しにして、両端を凝ったデザインが施されたアルミ製のエンドキャップでしっかり挟んで固定しています。

 ブルックスのグリップが他の革製のグリップと大きく異なるところは革の表面を握るのではなく、革の断面を握る点にあります。適度にざらつきがある革の断面を握ることで手の滑りを防ぐ利点があります。また、リング状の革を複数束ねたことによって握り部分の強度は高く、ハンドルを掴んだ手の力が逃げません。このことは坂を上る際に特に有効に感じます。
 デザインも他のグリップにはない個性的なものです。ご覧のように革の断面を重ねた層から微妙に内側の革の色が見えるようになっています。革のテクスチャーと革の色、両方が楽しめる秀逸なデザインなのです。このデザイン感覚に私はどことなく江戸の粋を感じます。
 ブルックスのグリップは格好ばかりではなく、材料の無駄を抑え、同時に機能面もよく考えられたとっても粋なグリップです。

2009年1月21日水曜日

Broの肖像(Brooks B17 サドル)

 学生服の下に少し派手なシャツや流行りのロゴマークが入ったスウェットシャツ(当時はトレーナーと言っていました)を着て、第一ボタンを外してシャツを見せる。今にして思えばミスマッチですが、このようなことをしていた方、多いのではないでしょうか?
 不思議なもので自転車に乗って暫くすると自分の色を加えたいと思います。大袈裟に言えばカスタマイズです。ちょっと強引ですが、ブロンプトンは学生服に似て、完成されたデザイン。従って何かを加えることも、また省くことも難しい自転車です。平たく言えばカスタマイズがしにくい自転車です。ハンドルに小さなベル一つ取り付けるにも気を使います。下手に手を加えると芸術的とも言える折りたたみ機構に支障が生じるからです。
 折りたたみに関係なく手を加えることが出来るのがサドルです。写真のサドルはブロンプトンと同じ英国製の革製サドル、ブルックス B17のスペシャルという定番のモデルです。自転車の色に合わせて革の色はグリーンを選びました。何がスペシャルなのか?ノーマルのモデルとは異なり機械打ちではなく職人がハンマーで叩いて付けた銅の大鋲と金属レールが鋲に合わせて銅メッキになっていることがスペシャルなのです。
 よく革のサドルはお尻が痛くなると聞きますが、このサドルはそのようなことはありません。座面が広いのでどっしりと安定した状態で座ることが出来ますし、革には複数の穴が空いているので、同じブルックスのサドルでも穴が空いていないスポーツモデルのサドルに比べるとクッション性があるようで想像するよりも座面は硬くありません。
 しっかりとした造りの革のサドルに変えたことで特に良いと思われることは自転車を漕ぐペダリング時にパワーロスが減ったように感じることと、自転車自体の剛性も一段上がったように感じるリッチな乗り心地です。勿論、革のサドルは見た目もお洒落になります。難点は目方がやや増えて自転車が重くなったこと、そしてデリケートな革のケアです。特に雨でサドルが濡れることは心配です。
 サドル一つで乗り心地を含めて自転車の印象が大きく変わることは驚きであり自転車の面白いところだと思います。そしてブロンプトンにブルックスのサドルを合わせることは学生服の下にロゴ入りトレーナーを着ることとは違ってベストマッチングな組み合わせです。
※ブルックスB17について 新たな記事を加えました 。

2009年1月17日土曜日

Broの肖像(立ち姿)


 ブロンプトンのデザインを一番特徴づけている緩やかに曲がった太いメインチューブ、この自転車のアイデンティティと言えます。メインチューブは単に装飾的なデザインとして曲がっているのではなく、折りたたみの機構上、この様な形になっています。
 ブロンプトンは他の折りたたみ自転車とは一線を画す秀逸な折りたたみ機構を持っています。折りたたみの方法はとてもシンプルで一連の操作に慣れば混乱することなく素早くそして綺麗に小さく折りたたむことが出来ます。メインチューブとリアフレームを繋いでいる連結器のレバーを引いて外し、サドルの後方を軽く持ち上げると自然にリアタイヤが曲がったメインチューブの下に綺麗に収まるようになっています。つまりメインチューブの形状はリアタイヤが綺麗に収まる形に曲がっているのです。
 ブロンプトンには自転車を自立させるためのキックスタンドが付いていません。(実は私のブロンプトンは後からキックスタンドを付けています)リアタイヤを収めた状態がこの自転車の自立した停車姿勢になります。この停車状態は一本脚のキックスタンドで停車するよりも地面との接点が多くなること、自転車自体の大きさがコンパクトになるので安定した停車が出来る利点もあります。何より私はリアタイアを納めたブロンプトンの立ち姿がとても綺麗だと思います。

2009年1月8日木曜日

Broの肖像(ヘッドランプ)


 自転車にも顔があります。私の小さな折りたたみ自転車、ブロンプトンの顔をカメラのファインダー越しに探します。私が見つけたブロンプトンの顔は先端に可愛らしく、ちょこんと付いた小さなヘッドランプを中心に構成された顔。月並みですがヘッドライトが目、ブレーキアーチが唇、泥除は前歯、タイヤは延びた舌。暫く眺めているとユーモラスで愛らしい表情に見えてきます。
 私のブロンプトンはM6Rと言うモデル。型番の最後にRが付くとリアキャリア(荷台)と共にランプが付属します。ランプはお世辞にも静かとは言えないダイナモ(発電機)で点灯する古典的なものですが、このダイナモは想像するよりも軽く、平地を走る分には脚に負担は感じません。むしろ広範囲を明るく照らすヘッドランプは、夜間の走行ではとても頼もしく感じます。勿論、電池交換の必要もありません。
 Rモデルはヘッドランプと共に、自転車の後ろに付いたテールランプも一緒に点灯します。このテールランプは他の自転車にはないユニークな機構を持っています。テールランプの話は改めてしたいと思います。