2009年7月26日日曜日

Broの肖像 イマジン(心象風景)


 大したことはないのに、何故だかイマジネーションを刺激する風景があります。僅か250、60メートル位の長さですが、この道の雰囲気が好きです。


 岩手県花巻市にイギリス海岸と呼ばれる場所があります。あの宮沢賢治が名付けた場所で訪れてみると見事にに何にもない川と川原だけの風景でした。
 実際には川岸に広がる泥岩を見てその様子がイギリスの白亜の海岸のようであったことから賢治がそのように名付けたのですが、私が訪れた時は丁度台風一過で川の水量が多く、残念ながら露出した泥岩を見ることができませんでした。しかし川縁から勢いよく流れる北上川の様子を暫く眺めていると、暗示に掛かりやすい私にはイギリス海岸のように見えてくるから不思議でした。
 川から海を想像する宮沢賢治のイマジネーションの豊さに感服すると同時に賢治って素敵な人だったのだなあと濁った北上川を眺めながら思いました。


 自転車に乗って自分だけの心象風景に出会えると嬉しくなります。もしも自分だけの風景が自分以外の人にも伝わり共感することができたら、もっと素敵でしょう。そして、いろんな人描く風景が楽しめるサイクリングができたら最高に楽しいと思います。

2009年7月25日土曜日

Broの肖像 プロペラカフェ (調布飛行場)


 私の住む三鷹市には飛行場があります。正確には三鷹市、府中市、調布市、3つの市にまたがる小型機専用の飛行場で調布飛行場と言います。プロペラカフェは調布飛行場内に併設されたカフェになります。


 給仕がいるのでカフェテリアではありませんが店内の様子は学生食堂のような雰囲気です。気取りのない空間はこのカフェの中で一番魅力的に感じるところです。
 窓の外、間近に滑走路があり、カフェの隣は飛行機の格納庫になっています。BGMの代わりに店内に流れるのは管制塔から発している無線交信の音声です。本物のフライトシミュレーターが店内に置いてあり、航空訓練も体験できます(有料で)。プロペラカフェは飛行機ファンにはたまらない、そしてファンならずとも楽しめるカフェなのです。


 プロペラカフェの近くには野川サイクリングロードが通り、ここより更に少し南へ行くと多摩川サイクリングロードもあるため、サイクリストカフェと言っても良いくらい何時も沢山の自転車乗り達を見掛けます。
 一息入れるために私はお気に入りのチャイラテを、家内はコーヒーゼリーが入ったアイスコーヒーを注文しました。


 朝から何も食べていなかったこの日、朝食兼昼食に選んだのは季節限定のスリランカ風カリーでした。
 カフェのメニューはどちらかと言えば若者や小さな子供がいる家族向けです。味はファミリーレストランよりも美味しく、また、何を頼んでも期待以上だと思います。特に私のお気に入りはB.L.Tサンドイッチ(ベーコン、レタス、トマトのサンドイッチ)、とろとろオムライスこの2品です。メニューの中にあるミラノ風チキンカツは試してみたいのですが、「キングカズも30過ぎてから揚げ物を食べることはまずいと言ってる」と言うと、サッカー選手でもないあなたが心配してどうするの?と家内に笑われます。しかし一度食べてしまうと、たがが緩みそうで今後も注文は出来ません。
 季節限定のカリー、家内は美味しいと言っていましたが、次回 私は定番メニューに戻すでしょう。


 調布飛行場は1941年に軍民共用の飛行場として開設されました。敗戦後はアメリカ軍の飛行場として使われ、1972年に日本に全面返還されました。近隣には住宅が密集していることから返還後は飛行場ではなく市民のために有効活用することで国も東京都も合意決定していましたが代替地を探すまでの3年間の期限付暫定使用になりました。しかし代替地が見つからず暫定使用期間の3年を越えて現在もそのまま飛行場として使われています。このような複雑な経緯を持つ飛行場に対しては賛否両論があり、また当然、近隣住民による飛行場反対運動も続いています。


 東京都は調布飛行場の重要な役割に離島への住民の足(離島路線)を主張しています。現在、調布飛行場から離島まで運行便を運用している新中央空港は大島、新島、神津島、3島へ運行しており、調布-大島 30分、調布-新島 35分、調布-神津島 40分、飛行機なので当然ですがそれでも驚きの速さです。乗降客の様子を見ていると島まで釣りに行く人が多いようです。
 手荷物は1人5Kg以内は無料、勿論有料になりますが自転車を一緒に載せて離島でのサイクリングも楽しめます。お金はあるけど時間のない人向きのサイクリングかもしれません。時間もお金もない私達はプロペラカフェ止まり、残念ながら離陸することはありません。

プロペラカフェ

所在地:〒182-0032 東京都調布市西町290-3
電話:0422-39-2525
営業時間:10時から19時
アクセス:
公共交通機関
1.京王線 調布駅北口より 京王バス 武蔵小金井行きバス(武91)
小田急バス 武蔵境駅南口行きバス(境91)
「大沢コミュニティー」下車徒歩15分

2.中央線 武蔵小金井駅より 京王バス 調布駅北口行きバス(武91)
「大沢コミュニティー」下車徒歩15分

3.中央線 三鷹駅より 小田急バス 調布飛行場行きバス(鷹51、鷹58)
「調布飛行場」下車 徒歩8分

4.中央線 武蔵境駅南口より 小田急バス狛江行きバス(境91)
「大沢コミュニティー」下車徒歩15分

5.中央線 武蔵境駅南口より 三鷹市コミュニティーバス循環バス
「調布飛行場」下車 徒歩8分

車の場合 中央道「調布インター」出口より府中方面
    「上石原」交差点右折、「飛行場入口」交差点左折 約10分

2009年7月19日日曜日

殿ヶ谷戸庭園(国分寺崖線めぐり 国分寺)



 以前「お鷹の道」で触れることが出来なかったJR国分寺駅近くにある都立 殿ヶ谷戸庭園をご紹介します。
 この庭園は、大正2年から4年に掛けて、満鉄の副総裁 江口定條氏が別邸として設け、赤坂の庭師「仙石」の手によって造られました。昭和4年に三菱財閥の岩崎彦弥太氏が取得した後、津田鑿(つださく)の設計により現在も残る本館、茶室(紅葉亭)などが建てられ回遊式林泉庭園として完成。昭和49年に東京都が買収するまでは岩崎氏の別邸として使われていたものです。

 「殿ヶ谷戸庭園」は以前このブログでご紹介した「美術の森」「滄浪泉園」(そうろうせんえん)と同じように国分寺崖線の地形(傾斜地)を上手く取り入れて造られた庭園です。崖下には地下水が沸き出すハケがあり、湧水は園内にある次郎弁天の池と呼ばれる池に注がれてから野川へと流れています。それでは庭園内をご案内いたしましょう。


 園内に入ると手入れの行届いた大芝生が目の前に広がります。小径に従って暫く歩くと綺麗に竹で組まれたトンネルが見えてきます。これは萩を絡ませるために造られたものです。秋になれば萩の花が綺麗に咲く正に萩のトンネルになるのでしょう。


 萩のトンネルを潜ると藤棚があり、その先は階段で崖下へと降りて行きます。すると竹林が続く竹の小径に出てきます。


 竹の小径を抜けると次郎弁天の池と呼ばれる池があります。この池は崖下から湧き出る清水を集めて出来た水溜まりを別荘造成時に形の良い池として造られました。次郎弁天とは古くからこの池の水源である湧水を次郎弁天の清水として信仰された名水であったことから呼ばれているようです。しかし今をもって名前の由来、弁天様が泰られていた場所等は不明です。池の向こう、崖の上には紅葉亭と呼ばれる茶室が見えるます。ここからの眺めはまるで掛け軸の絵を見るようです。


 石段を上ると津田鑿(つださく)の設計の茶室、紅葉亭があります。ここからの眺めは駅前にある庭園であることを忘れてしまう見事な風景です。


 獅子脅しの音が響く紅葉亭の裏側へ回ると勝手口があります。紅葉亭は前もって予約をすると借りる事が可能です。この日は句会が行われていました。


 小径に沿って茶室を一回りすると「美術の森」の時と同じように小径脇にさりげなく石臼が置れていました。
 茶室から見下ろす風景です。紅葉亭と呼ばれるように秋に訪れると園内の木々の紅葉が楽しめる庭園内の絶景スポットになるようです。


 再び池まで降りて行く途中、石灯籠の陰から猫が顔をだしていました。試しに自分が飼っていた猫の名前で呼んでみましたが無視され、すたこらと逃げられてしまいました。
 崖下からの湧水は平均して毎分、約37リットル、水温は年間を通して15から18度と言われています。湧水は池から庭園外の野川へと流れていきます。


 湧水が出るところから少し上がった場所に文政7年(1824年)に建立されたという馬頭観音の石碑がありました。当時の国分寺には馬が22頭いたようです。これは江戸幕府が同程度の村に期待した馬の飼育数、15頭を上回る数でした。馬は農耕、荷稼ぎそして国分寺が府中宿の助郷として馬の供給を負担していたことも国分寺に馬の数が多かった理由だったようです。国分寺で馬が大切に飼われていたことが分かります。
 階段の向こうに見えるのは紅葉亭と同様、津田鑿(つださく)が設計した和洋折衷の本館になります。


 本館の玄関から見た庭の様子と本館前の綺麗に刈り揃えられた芝生。ボンバーヘッドになりつつある家の芝生をなんとかしなくては・・・。本館の内部はがらんとした古い学校の教室のようでした。園内の四季の様子を撮った写真等が展示されていましたが、建物の内部の様子は少し期待はずれでした。


 本館を過ぎると丁度園内を1周したことになります。楓の葉越しに庭園の芝を眺めてから中門を潜り殿ヶ谷戸庭園を後にしました。

 「殿ヶ谷戸庭園」は「美術の森」、「滄浪泉園」とも異なる庭でした。先ず感じたことは庭の手入れが大変行届いていること。これは小金井市と国分寺市の財政差なのでしょうか?私が訪れた時も数人の庭師が熱心に仕事をしていました。特に「滄浪泉園」とは対照的に映りました。庭を見せる演出も巧み(意図的)でありながら武蔵野の自然を活かした大変居心地の良いほっとする庭園でした。季節毎に訪れたい、特に紅葉の時期には是非、脚を運びたいと思います。

mincoroおすすめ度:★★★★★(星5中5つ)

殿ヶ谷戸庭園
面積:21,123.59㎡
  (内訳 有料庭園17,694.12㎡ 児童公園3,429.47㎡)
所在地:東京都国分寺市南町2丁目16番地
開館時間:9時から17時(入館は16時半まで)
休館日:年末・年始(12月29日から1月3日)
入園料:一般及び中学生 150円 20名以上の団体 120円
    65才以上 70円 20名以上の団体 50円
電話:042-324-7991
アクセス:JR中央線国分寺駅下車 南口より徒歩2分

2009年7月6日月曜日

マグリットの自転車(港区高輪)


 生活の中で再び自転車を意識的に利用するようになってから、街へ出ると無意識に自転車の姿が目に留まるようになりました。東京では様々な自転車を見掛けますが、特に素性の分からない自転車が置いてある風変わりな風景に惹かれます。
 此処は、港区高輪の高台に建つマンションの前、何気なく入った道に自転車が置いてあります。


 この辺りは昔から高級住宅地として知られていますが、JR品川駅の改装と共に海側(港南口側)の風景はここ十年程の間で急激に変わってしまいました。大企業のビルが墓石のように立ち並び、まるで巨大な墓地を眺めているようです。


 何時から何故このような姿の自転車が此処にあるのか分かりません。初めてこの自転車を見たとき、まるで拷問されているような姿に驚きました。気になって再び自転車を見に行くと以前の状態とは異なり石が自転車から下ろされ、刑は軽減されていました。


 この場所から少し南へ歩くと御殿山になります。御殿山は江戸時代には桜の名所として知られた所でした。今は想像すら出来ませんが御殿山からの眺めは東京湾、その向こうには富士山が見える絶景だったようです。


 刑が軽減されてもパイロン(工事現場等にある赤い円錐形の物)に使われる黒いおもりが自転車に巻きつけてあります。タイヤもパンクしているようです。動くこと、走ることが出来ない自転車。

「これは自転車ではない」