ブルックスと言えば革のサドルですがその昔B18というプラスチック製のサドルが造られていました。詳しいことは分かりませんが、このサドルが販売されていた80年代はレーサーブームで革サドルの需要が減り、ブルックスもこのようなプラスチックサドルを試験的に製造販売していたと聞きました。しかし残念ながら価格が安いだけで市場には受け入れられず短命に終わったようです。大分前に興味本位で手に入れていたこのサドルのことを思い出してパシュレイTSRに装着してみました。
B18を思い出した切っ掛けは先日の
モールトンの展覧会でした。S-speed(スピード)や コリン・マーチンの
marathon(マラソン)等にもB18と似たようなユニカのプラスチック製サドルが装着されていたのです。レース仕様のモールトンに機能を優先したプラスチックのサドルが使われたことは理解できたのですが、イギリスからオーストラリアへ横断旅行を行ったコリン・マーチンのツーリング車(マラソン)にもプラスチックサドルが装着されていたことを確認して、今まで使うことなくお蔵入りしていたB18を少し試したくなりました。
改めてB18を眺めてみると簡素ながら丸く優しいフォルムは機能的であり、尚且つ格好が良いように思います。座面の中心には
B17のような小さな穴が空き、後方にはサドルループまで付いています。肝心な乗り心地は想像するよりも悪くありません。今までTSRについていた
ブルックス・プロフェッショナルよりもむしろ柔らかく感じた程でした。これは革に似せたプラスチック材を用いたことにあると想像します。長時間試した分けではありませんが、お尻にパッドの入っていないジーンズを履いて乗ってみた感想は見た目以上に真面目に造られたサドルということでした。
コリン・マーチンは
自身のホームページでプラスチックサドル(ユニカ)について以下のような興味深いコメントを記しています。
The saddle was a 'Unica' which I had used for quite a few years while road racing in the 'West Country' of England. It's 'horses for courses' when it comes to saddle comfort but this plastic saddle served me well.
It's 'horses for courses'、サドルの快適さということに関して言えば「適す人もいればまたそうでない人もいる」プラスチックサドルの性格を上手く表現しています。そしてコリン・マーチンが以前からプラスチックサドルをロードレースで使っていたこと、また大変愛着を持っていたこともわかります。
B18と共にボトルケージも出てきたので装着しました。定番ともいえるニットーのボトルケージですが繊細なステンレス加工はトラスフレームにとても似合うように思います。このボトルケージはパイプに小さく「Moulton」の文字が入ったモノがありますが、名前が入るだけでお値段は2バイ!になります(笑)
これも今回一緒に出てきた無印良品の在庫処分で購入したネオプレーン素材の
筒型ペンケース。当初はトラスフレームの空間に取り付けようと目論んでいましたが、ボトルケージにも入る丁度よい大きさでした。工具や救急用品に加え、替えのTシャツ等もまるめて一緒に入れられます。
帰る途中、空を見上げると黒々とした雲が西の方からせまり、冷たい風が吹き抜けると突然大粒の雨が降ってきました。このような状況でプラスチックサドルはとても心強いです。雨の多い梅雨時、B18を暫く使い続けてみようと思います。また目方も軽いのでブロンプトンで輪行する際にも試してみたいと考えています。いろいろ活用できそうなサドルです。