Broの肖像(エプロン)


 以前、街中で英国車のミニが燃料を入れるフューエルキャップに、ガソリンの垂れを防ぐために立派な革のフラップをつけているのを見て、革が油でシミになってしまうのに、何故このようなことをするのだろと不思議に思って眺めていました。

 自転車には水しぶきや泥の跳ね上げを避けるために泥除けと共にマッドフラップなるものがついている場合があります。マッドフラップは主にコーナリング時に泥除けではカバーしきれない跳ね上げを抑える役目があります。クラシックなスタイルのブロンプトンにも薄いビニールで出来た大きなマッドフラップがついています。純正のマッドフラップはブロンプトンの雰囲気を損ねない程度のもので、無くても構わない、しかし外してしまうと寂しい気分になる。それなりの存在感があります。このマッドフラップは横風が強く吹くと生地が薄いために度々前輪に巻き込まれてマッドフラップをタイヤで擦ってしまうことがありました。そのようなことがあって、雰囲気もよく生地がしっかりとしたものに変えたいと思っていました。

 そんな折、アメリカのリーベンデールにナイジェルスミスのサドルバックを注文する機会があり、同じ送料を支払うならばと考えてサドルバックと同じ柄のツィードと革で出来た同社のマッドフラップを一緒に注文しました。
 「マッドフラップにこのような装飾をすることは馬鹿げているが、わずか15ドルでマッドガードにおめかしが出来る」正にリーベンデールの製品コピー通りのことを感じました。そして汚れる部分だからこそ洒落たものにしたいと思う天の邪鬼な気持ちが私の中のどこかにありました。

 ナイジェルスミスのマッドフラップをブロンプトンに装着するには泥除けに2ヶ所、穴を空ける必要があります。ブロンプトンの泥除けは樹脂製なので穴空け自体はとても簡単ですが、マッドフラップを外してしまうと泥除けに穴が空いたままになります。「It is no use crying over spilt milk.」学生の頃に先生から繰り返し言われた言葉が一瞬頭によぎりましたが、ご覧の通り泥除けに穴空けを行い取りつけてしまいました。気休めですがマッドフラップの裏表両方には防水スプレーをしておきました。

 ナイジェルスミスのマッドフラップに交換したことで横風によって前輪にマッドフラップが巻き込まれるようなことはなくなりました。ただ、純正のマッドフラップは泥よけの内側に沿わせるように取りつけてあったのに対して、このマッドフラップは泥よけの外側に上部2ヶ所をビスで留めて、ぶら下がるようにつけています。風を受けてフラップが裏側にめくれてしまうことはありませんが走行中はフラップの先端が3センチくらい浮いた状態です。機能的なことを考えればブルックスやギルベルソーが製造している革製のしっかりしたものの方がよいかもしれません。雰囲気重視な私はツィードと革のコンビネーションが洒落たこの製品に大変満足しています。もし著しく汚くなってしまった時は革を使って自作しようと思います。

 先の英国車ミニのフューエルキャップについたフラップは“タンクエプロン”等と呼ばれているようです。エプロンとはなかなか上手い表現だと思いました。私もこれからマッドフラップをエプロンと呼びたいと思います。
 小さなマッドフラップ1つであれこれと考える。これもブロンプトンを楽しみ方の1つだと思っています。そして英国車ミニのオーナーの気持ちも分かるようになったこの頃です。

コメント

  1. こんにちは。
    早速覗かせて頂きましたが、いやぁ~凄いお洒落ですねー!
    安もの臭い純正マッドフラップと比べて雲泥の差ですよ。
    これ素直に欲しいです^^
    また折見つけて(財布の中身のことですが)勉強してみます。
    mincoroさんイイ趣味されてますね(^^)

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  2. wembley 様

    こんにちは
    何時もコメントを頂き有り難うございます。

    >イイ趣味

    有り難うございます。
    趣味の悪い人のイイ趣味ではなく、
    趣味のイイ人の悪趣味でありたいと願っております(笑)

    正直、わざわざ汚れる所にこんなことをしても、と思いましたが(笑)
    やってみるとちょっと大人っぽい雰囲気を演出することが出来て案外悪くないものです。
    自己満足ですが、ほんの僅かなことでも変化が楽しめる、
    改めて自転車の面白さを知る良い機会になりました。

    次回は家内用に革製のマッドフラップを自作しようと考えています。
    そのうち紹介が出来ればと思います。

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