「はけの森美術館」を出発して「はけの道」を更に西へ向かうと道の突き当たりに以前紹介した「金蔵院」が見えてきます。寺院内の枝垂れ桜の花は散ってしまいましたが新緑が大変綺麗でした。また前回はなかった萩が植えられていました。秋に訪れれば白萩を楽しめるでしょう。
小金井街道を越えて更に西へ行くと「貫井神社」に着きます。「貫井神社」も小説、「武蔵野夫人」の中で「はけ」の水源を探して道子と勉が訪れた所です。今も変わらず神社の奥にある薄暗い崖下から水が湧き出ています。昔はこの湧水を貯めて「貫井プール」という50メートルのプールがあったそうですが残念ながら今はありません。湧水なのでかなり冷たいプールだったようです。「貫井神社」の湧水も「東京の名湧き水57選」に選ばれています。
「貫井神社」を更に西へ向かいます。東京経済大学の裏を走り抜けるとJR国分寺駅の南側に「殿ヶ谷戸庭園」があります。この庭園も素晴らしいのですが今回は立ち寄らずに国分寺駅とは反対の南方向へ、坂を下ります。坂を下りきった辺りで国分寺街道と合流すると不動橋で再び野川に出会います。橋を渡って右折し暫く走ると今回の目的地「お鷹の道」は閑静な住宅街の中にありました。
「お鷹の道」は寛延元年(1748年)この辺りが尾張徳川家のお鷹場に指定され、鷹狩りの際にこの道を行き来したことからこの名前が付いたそうです。ご覧のように水路の中にはカラーの花が綺麗に咲いていました。なお水路沿いの道は自転車で走る事は出来ません。よって自転車はおして歩きます。水源に近づくにつれて目の前に現れる景色はまるで歴史を遡っていくようでした。
道の途中で右折出来るところがあります。入ってみると古い農家が数件ありました。野菜の庭先販売を行っており、私も「大根菜」と「のらぼう」というアブラナ科の野菜(先日紹介した菜の花と同じ種)を買って帰りました。油で炒めて食べたら菜の花よりも癖がなく甘みと歯ごたえがあるとても美味しい野菜でした。
農家の直ぐそばには古い伝説のある「真姿の池」があります。嘉祥元年(848年)、玉造小町という大変美しい娘がおりましたがライ病を患い、醜い顔になってしまいました。そこで武蔵国分寺の薬師如来に訪れたところ1人の童子が現れてこの池の水で身を清めるように言われました。娘は言われた通りこの池で身を清めると元の美しい姿に戻ったと言うお話があります。
「真姿の池」の先は崖になっており崖下からは湧水が出ています。この水は環境省が選定する全国名水百選にも選ばれています。大きなペットボトルを持参した人が次々に水を汲みにやってきていました。
崖の階段を上がると「国分寺公園」という大きな公園があります。突如現れた現代的な風景を見て崖下の世界から現代に戻ってきたような不思議な気分になりました。
再び崖下の世界に戻って「お鷹の道」の続き、西へ歩いていきました。「お鷹の道」は市名の由来となっている国分寺というお寺の近くで終点になりました。水路のみが竹薮の奥、崖下の方向にまで続いていました。
「お鷹の道」終点(始点)国分寺の前に建つ巾6.2メートル奥行3.7メートルの巨大な国分寺楼門を背景にTSRの写真を撮って今回は家路に就くことにしました。
「お鷹の道」は全行程でおよそ350メートルの短い遊歩道ですが、水源に向かうにつれて辺りの風景が昔へと変化していくタイムトンネルのような小道でした。江戸時代は勿論、遥か昔に繁栄をした武蔵国分寺の時代にまで想いをめぐらせながらゆるりとした時間が流れています。なお、水路には蛍が棲んでいて5月頃からその姿を楽しめるようです。
mincoroおすすめ度:★★★★★(星5中5つ)
お鷹の道(真姿の池)
所在地:〒185-0023 東京都国分寺市西元町1丁目
お問い合わせ先:国分寺市観光協会042ー325-0111内線393
次回、番外編をお楽しみに
お鷹の道、良いですね~
返信削除水路の花の写真見てると、ほんとにタイムスリップしたような
場所に感じます。
ホタルまでいるんですか。
東京にも、こんな時間がゆっくり流れている場所があるんですね。
mincoroさんのお陰で、ちょっと東京を見直しました(笑)
ゆるポタ さん
返信削除何時も温かいコメントを頂き有難うございます。
>水路の花の写真見てると、ほんとにタイムスリップしたような
場所に感じます。
有難うございます。
しかし、私の写真ではこの場所の本当の雰囲気が表現しきれなくて残念です。
また、黒澤組にでも頼んで崖の下から上までをクレーン撮影してもらうと下と上の風景の差がもっと分かると思います(笑)
>東京にも、こんな時間がゆっくり流れている場所があるんですね。
mincoroさんのお陰で、ちょっと東京を見直しました(笑)
有難うございます。
そのように言って頂けてとても嬉しいです。
東京も都心を少し外れるとまだまだ自然が残っています。
また特に武蔵野地区は地形に特徴があって私自身も嵌まってしまいました(笑)