Broの肖像 憧憬の風景 3(多摩湖自転車道)


 自然と人工物が邂逅する多摩湖の風景は一種独特な雰囲気が漂っているように思います。静かな湖面を暫し眺めているとデ・キリコが描いた形而上絵画の世界、 又はアルド・ロッシの空想都市のようにも見えてきます。そして懐古趣味的な取水塔の屋根の上にアヲハタジャムのような二等辺三角形の旗を靡かせてみたい、そのような衝動に駆られるのです。


 平地が続く「多摩湖自転車道」界隈の風景は坂の多い国分寺崖線沿いの風景とは異なります。水に恵まれない人が住めない場所でしたが、江戸時代に玉川上水そして野火止用水の開削によって新田開発がされて人々が暮らせるようになりました。畑や所々に雑木林の名残のようなものも見られて所謂「武蔵野」的な風景が残っています。


 「小平ふるさと村」に入ることができました。約1,000平方メートルの敷地に玉川上水の開通によって開発された新田村落(江戸中~後期の武蔵野新田の農家の姿)が再現されています。移築された立派な母屋の軒下に腰掛けて暫しの休憩をしました。茅葺屋根そして当時は風に飛ばされやすい関東ローム(火山灰)の土埃を防ぐために設けられた防風林が夏の日差しを遮ってくれます。居心地がよくエアコンの必要性を感じませんでした。


 「武蔵野」は私たち東京人の心の故郷であり憧憬です。しかし「武蔵野」の実相は曖昧で、それらしい面影を探して頭の中で継ぎ接ぎながら各々が理想の「武蔵野」を再構築しているようなところがあります。その点「野山北公園自転車道」から「多摩湖自転車道」へのルートには「武蔵野」らしさが今もなお姿をとどめているように感じます。
 「多摩湖自転車道」沿いのにはドメスティックなムードが漂うお店が並んでおり興味は尽きません。何故か1人で走るとお腹が空かないので一瞥して通り過ぎるばかりですが、家内と2人の時にはちょっと入ってみたいと思わせます。涼しくなったら今度は2人で出掛けてみようと思います。

コメント

  1. こんばんは。

    武蔵野の原風景が残っている、それを感じてはるmincoroさん。

    いいなぁ~ゆっくり味わいながら走りたいです。

    そういう経験をしておけば良かったと後悔しているんです、実は・・・

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  2. jun.skywalker 様

    こんばんは
    何時もコメントを頂き有難うございます。
    日本全国を走り廻っているjunさんなら機会は必ずございます(^^
    またご一緒出来ればよろしいですね!

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  3. やっぱり多摩は、東京であって東京ではないですね。
    多摩湖を走るブロンプトンが、気持ち良さそうです^^

    こんな道が、まだ残っているとは、東京も捨てたもんじゃありませんね(笑)
    でも、こんな道を走れるのも、ブロのような自転車だけか(^^ゞ

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  4. ゆるポタ様

    こんばんは。
    何時もコメントを頂き有難うございます。

    多摩湖は後半に続くダウンヒルが特に気持ち良いです(^^
    都心と郊外、それぞれに良いところがありそこが東京の面白さだと思っています。
    また折り畳み自転車なら歩くよりも楽に広範囲に廻れることが良いですね。

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