英、仏 サドル比較(Brooks B17 vs Gilles Berthoud Aspin)

カサーティ(Casati)についている革サドル ジル・ベルソー(Gilles Berthoud)のアスパン(Aspin)を使用して大変好印象を持ちました。座面には肉厚の厚い革が使われており、ペダリングの際に力が逃げることがありません。また乗り心地も大変良く、お尻が痛くなることもありませんでした。
同じように個人的に好印象を持って何時も使用しているブルックスのB17と比較してみました。(今回比較測定に使ったのはB17 Titanium、何時も使っているサドルはB17 Special

B17(Titanium)とアスパンの大きさを測るとB17の方が座面の幅が少し広いだけでその他はほぼ同じサイズでした。
  • A(座面最大幅):170 mm (B17) / 165 mm (Aspin)
  • B(全長):275 mm (B17) / 275 mm (Aspin)
  • C(先端から後方100 mmの位置での幅):50 mm (B17) / 50 mm (Aspin)
  • レールの直径:φ7 mm (B17) / φ7 mm (Aspin)
  • 革の厚さ:5 mm (B17) / 6 mm (Aspin)
  • 重さ:400g (B17 Titanium) / 500g (Aspin クリック・フィックス アタッチメント付き)

ツーリング用ということで類似点が多い両サドルですが、固有の特徴を持っています。

B17の座面は両端から中心部に向かって弧を描くように僅かに低くなっています。また座面の幅が広く、サドルの中心線上に小さな穴が3つ並ぶように開けられています。これらは身体に馴染み易く、適度にしなやかなで長時間乗っても疲れないB17の優れた性質に繋がっているように思います。

アスパンの特徴は樹脂製のベースが使われていることです。これはB17に比べると頼りない気がしますが、座面とベースを固定するビスを外せばベースから革の座面を取り外すことが可能になっています。これはB17にはない特徴です。
ベースに樹脂を使う一方でレールやビスにはステンレスや真鍮が使われています。またサドルバッグ用の取り付け器具がついた状態でも総重量は500gと軽く仕上がっています。樹脂製のベースはやや不安のある一方でサドルの軽量化に寄与しています。また樹脂製のベースが壊れても革の座面は取り外して使い続けられるという発想のようです。

座面の革が伸びた場合、両サドル共に先端部分のボルトによって革の張り具合を調整できるようになっています。革の厚さはB17が5ミリに対してアスパンは6ミリとアスパンの方が少し厚い革が使われています。

B17は座面とベースが銅のリベットでしっかり固定され、座面を外すことはできません。一方でアスパンはステンレスのネジで座面とベースを固定しており、先述したように座面をベースから取り外すことが可能です。先端部分のネジ受けの真鍮ワッシャーには製造年度とシリアルナンバーが刻まれています。

両サドル共にサドルバッグが取り付けられるようにサドルの後方部分にベルト通しの穴が開いています。(B17はタイテニアム、アスパンは樹脂)またアスパンにはクリック ・フィックスでサドルバッグが着脱ができる専用アダプターが付いています。(アダプターはオプション)

B17とアスパンを比較してみると両方共 特徴(個性)があり大変興味深く思いました。ブルックス B17は100年以上の歴史を持つ まさに革サドルのスタンダードですが、完成度の高さと先進性に改めて感服しました。また、ジル・ベルソーのサドル アスパンも完成度が高く、伝統的な手法の中に新しい素材と発想を取り入れ、ブルックスにはない独自性を持っています。細部にも拘りフランス的なエスプリがあることもこのサドルの大きな魅力です。

イギリス、フランス、それぞれの固有の文化が製品に反映されていると感じました。私たちも自国の文化が反映できる個性的なものづくりを志したいものです。

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