小径車には常識を覆すようなユニークな自転車が多くあります。小径車の元祖モールトンも自転車の常識を覆すものとして生まれたことを考えると、いわば小径車自体がユニークな存在と言えます。そんなユニークな小径車の中でも最右翼に位置するのがA-bikeです。
A-bikeは英国の発明家、クライブ・シンクレアによって考えられた究極の折りたたみ自転車です。ご覧の通りアルファベットの"A"の形をしている自転車なのでA-bikeです。自転車として考えると驚く程小さく折りたたむことが出来て、材料にアルミとグラスファイバー強化ポリアミドを使ったボディは6Kg弱と軽量です。気になる折りたたみ方法は自転車というよりもカメラの三脚を組み立てたり、たたんだりするのに似ています。慣れればとても速く折りたたみが出来ることもA-bikeの特徴です。そして折りたたまれたA-bikeの姿は大変綺麗です。
A-bikeを自転車と呼べるのか?この問いには悩むところがあります。自転車と同じメカニズムをした別の乗り物というのが一番よい答えではないかと思います。また、自転車と考えて乗ると失望するところが多い乗り物です。6インチという極小径タイヤからは容赦なく突き上げるような振動がお尻に伝わってきますし、軽量化が理由とはいえサーキュラバンドのブレーキ性能は頼りなく、下り坂では危険です。そしてA-bikeを乗りこなすにはある程度のバランス感覚と慣れが必要です。自転車をこれ1台で済ませようと考えるならばお薦め出来ない乗り物です。
それではA-bikeの何がよいのか?この乗り物が自分の生活をより豊かにしてくれそうな予感がする。そのような妄想を抱かせるところにあります。簡単に言えば気軽に何処にでも持ち歩ける携帯自転車になる。という妄想です。しかし6Kg弱という重さは数台のノートPCを持ち歩くのに等しく、気軽に持ち歩くことには躊躇います。特にその乗り心地は自転車のレベルにはなく、自ずと行動範囲も限られてしまいます。
それではどのようにA-bikeを使うのか?私はもっぱら自転車の駐輪場が少ない街中に出かける際にA-bikeを使っています。東京の街は何処へ行っても歩道や裏道に不法駐輪の自転車が溢れています。歩行者の妨げになることは勿論、雑に折り重なるように置かれた自転車は危険です。その点A-bikeならば駐輪場を探す手間や不法駐車をする必要がないので気遣いなく街に出かけることが出来ます。また素早くたためば手荷物程度の大きさになるため、他の人に迷惑を掛けることなく買い物をすることが出来ます。街から少し離れたところに住む私にとってA-bikeの適した使い方だと思っています。
A-bikeのもう1つの利点は運動不足の解消です。例えばダイエットのために自転車に乗る場合は相当な距離を走らなければその効果は期待出来ませんが、A-bikeならば短い距離を走っても相当な運動量になります。A-bikeは健康系の乗り物と言えます。
それからあと1つ、A-bikeに乗って街を走ると老若男女、全ての人に注目されます。この点は安全面ではプラスかもしれません。
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