TSRの肖像(国分寺崖線めぐり 美術の森へ)


 久しぶりにTSRに乗って1人で出掛けました。
今回は国分寺崖線沿いを走りながらJR国分寺駅の南側、西国分寺駅方向まで続く「お鷹の道」と呼ばれる「東京の名湧き水57選」にも選ばれている湧水が流れる小道を目指しました。

  国分寺崖線(こくぶんじがいせん)とは古代多摩川が長い年月を掛けて西南に移動して、武蔵野台地が侵食されて出来た段丘で西は立川市の北東付近から、東は 世田谷区の野毛付近まで続いています。昔からこの辺(武蔵野)では「はけ」と呼び、崖下からは湧水が出ている所が多く見られます。また崖下からの湧水は野川の源流の1つになっています。

 何時ものように野川沿いの道、野川サイクリングロード通って西へと向かいました。道幅が狭い野川サイクリングロードですが、自動車を気にすることなくのんびりと川辺の景色を眺めながら走れる大変気持ちがよい道です。
 野川沿いには桜の木も沢山ありますがこの日は八重桜がまだ楽しめました。(上の写真)初夏のような気候であったこの日、土手の下まで降りてキラキラと光る水面を暫く眺めました。


 暫く走り続けると野川公園に入ります。開放的なこの辺りの風景はJR中央線のポスターに使われた場所でもあります。
  野川公園内に入ると道は舗装道ではなくなります。このような状況ではTSRのフルサスペンションが機能して路面から伝わる鋭い振動をいくらか和らげてくれます。しかし、サスペンションがついたからといってシトロエンのような乗り心地になる分けではありません。私がTSRのサスペンション効果を一番感じるのは坂道を上る時です。かなり急勾配と思える坂道であってもタイヤが路面をしっかり捉えるので無駄な力を入れることなく坂道を上れます。この点は特にブロンブトンとの差を大きく感じるところです。

 西武多摩川線の線路を潜ると武蔵野公園になります。武蔵野公園を抜けると「はけの道」と呼ばれる崖線沿いの道に出てきます。

「はけの道」の中程に位置するのが「はけの森美術館」です。洋画家、中村研一のお屋敷があった場所に1989年、富子夫人が開館した個人の美術館でしたが、その後 小金井市へ寄贈されて2006年から小金井市立の美術館になっています。美術館の裏には「美術の森」と呼ばれる中村研一の旧邸と庭を見ることが出来ます。


「美術の森」は大岡昇平の小説「武蔵野夫人」のモデルになった場所としても知られており崖の斜面に造られた庭は国分寺崖線の特徴を見ることが出来ます。庭には「東京の名湧き水57選」にもなっている湧水が出る小さな池があり、湧水は敷地の外まで流れています。


 敷地内には中村研一が愛用した茶室「花侵庵」があります。「花侵庵」とは花の香りが侵入してくる庵という意味で中村研一が命名したそうです。また旧邸を改装して現在は雰囲気がよいカフェとして使われています。


 崖の上まで続く石段の中には石臼があり、石段の途中には竹筒で造った蜂宿(はちやど)も設置されています。昔は害虫駆除のために狩人蜂を棲ませたようです。


 石段を上がっていくと崖の上に裏門があります。「武蔵野夫人」の中に書かれているようにこの辺りは崖下(南側)を正門にしているようです。崖の斜面は木漏れ日が綺麗な竹林になっています。


 庭内から湧き出た水は敷地外の「はけの道」をはさんで「はけの小路」と呼ばれる小道に沿って野川の方に流れています。

「はけの森美術館」と「美術の森」は過去にも何度か訪れていますが何時来ても落ち着ける空間です。この日はカフェがお休みだったため見学者が少なくゆっくりと庭を楽しめました。メインの美術館で中村研一の作品を楽しんだ後に武蔵野の面影を残す「はけ」の特徴を見ることが出来る庭も楽しめるので多くの人にお勧めが出来ます。またJR武蔵小金井駅からも歩いて行ける距離にあり、アクセスも比較的容易です。敷地内のオーブン・ミトンカフェは女性やカップルに人気があるようですが私個人はたまに入る程度でよいかな?という感想です。

mincoroおすすめ度:★★★★☆(星5中4つ)

はけの森美術館
所在地:東京都小金井市中町1-11-3
開館時間:10時から17時(入館は16時半まで)
休館日:月曜日(休日の場合は翌日)
電話:042-384-9800
オーブン・ミトンカフェは10時から16時半まで(冬期は15時半)、定休日、月、火、第3日曜日

続きは次回 「お鷹の道」を目指します。

コメント

  1. こんばんわ。
    これが、例の武蔵野夫人の舞台ですか。
    若い頃に読んだ、大岡昇平の小説ではこれが一番好きでした。
    三島由紀夫、福田恒存とかこの辺の人とか好きでしたね。
    今と違って、こういう風な大人は少ないですね。
    自分も幼いとは思いますが。

    さて、写真では善く解らないのですが、茶室も数寄屋建築
    と言うよりは矢張り、武蔵野の野趣を残した感じなの
    でしょうか? そんな感じを覚えました。

    で、こんな質問、つまり自転車の事をここで聞いても
    良いのか解りませんが、勇気を振り絞って、敢えて聞きます
    自転車の事を。起こらないで下さいね、自転車の事を
    聞いたからと言って。
    僕はブロに乗って、大体100km位ならまぁ、大して
    疲れない様なのですが、TSRではもっともっと乗っても
    大丈夫ですか? 勿論、僕とmincoroさんとの体力差
    やどんな所を走るかで大分違って来ますが、その辺の
    違いをざっくりとした感じで良いので、又教えて下さい。
    本当にこんなところで、自転車の話をしてすみませんm(-_-)m

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  2. Xinyi Folders さん

    こんにちは。
    何時もコメントを頂き有難うございます。

    >若い頃に読んだ、大岡昇平の小説ではこれが一番好きでした。
    三島由紀夫、福田恒存とかこの辺の人とか好きでしたね。
    今と違って、こういう風な大人は少ないですね。

    武蔵野夫人は「はけ」という自然を題材にしながら男女の心理を描いたとてもユニークな作品ですね。
    この辺りにはまだまだ武蔵野夫人で描かれていた風景が残っていますのでXinyi Folders さん、是非ブロンブトンを持って遊びにいらしてください。
    三島由紀夫は私も好きで若い頃に夢中になって読みました。
    福田恒存はXinyi Folders さんらしいですね。

    >写真では善く解らないのですが、茶室も数寄屋建築
    と言うよりは矢張り、武蔵野の野趣を残した感じなの
    でしょうか? そんな感じを覚えました。

    中村研一の邸宅と茶室は佐藤秀三という建築家が設計して建てたものです。
    中村研一の邸宅以外にも旧住友家俣野別邸や向井潤吉のアトリエなども手掛けており、日本の伝統的な木造建築に西洋建築のテイスト取り入れたいわゆる和洋折衷の建物をモダンに造るのが上手な建築家です。

    この茶室も柱などを外部に露出させてその間をモルタルで埋めるハーフティンバースタイル(西洋木造建築の様式)になっていて
    Xinyi Foldersさんが言われるように数寄屋建築というよりどこか西洋風な感じがする茶室になっています。

    >僕はブロに乗って、大体100km位ならまぁ、大して
    疲れない様なのですが、TSRではもっともっと乗っても
    大丈夫ですか? 勿論、僕とmincoroさんとの体力差
    やどんな所を走るかで大分違って来ますが、その辺の
    違いをざっくりとした感じで良いので、又教えて下さい。

    中村研一の作品ですが、私が見た時の展示作品の感想になります。
    この時代の他の日本の洋画家と同じようにフランス近代絵画からの影響が強いように感じました。何処かで見たことがあるような作品、正直そんな印象も持ちますが明るい色調で描かれた作品が多く、見ていて気持ちの良い作品ばかりでした。
    2階には陶芸作品が展示されており、恐らく茶室では自作の茶碗でお茶を楽しんでいたと思われます。

    あっ!
    自転車の話でしたね。(と白々しく)
    TSRとブロンプトン、どちらが長い距離を乗っても疲れないか?
    結構難しい質問ですね。

    ブロンブトン乗りの私からみてTSRはどうだ?と言うことだと解釈しますが、

    ブログでも少し触れましたが、
    TSRは特徴的なサスペンションによってまるでタイヤが地面に張りついたように走ります。
    よってブロンブトンに比べるとついついスピードを出してしまいます。
    (スピードを出して走りたくなる自転車でもあります)
    だから皆さんドロップハンドルにしてツールドフランスにでも参加するような格好になるのだと思います。
    同じ小径車でもキャラクターが全く異なる自転車です。(分かってるって!)

    Xinyi Foldersさんが自転車でより遠くへ楽に(高効率的に)そして軽快に走りたいと思うのであればTSRはブロンプトンより大変優れた自転車だと思います。(そう言う意味ではもっともっと乗ってもTSRは疲れません)

    博士は自転車を意識させない自転車をつくりたかったみたいなこと
    お借りした本のどこかに書いてあったと思うのですが、
    ペダルを漕いでロスがなくスムースに自転車が走ってくれる。
    モールトンでよく言われるシルキーライド、このことかなと思いました。

    しかしブロンプトンの気軽な走りもTSRに劣らない性能だと思います。
    同じ100Kmを走る場合でも
    自転車の走行性能を楽しみながらスポーティーに100Km走りたいと言うのであればTSRを
    お友達と一緒にのんびり周りの景色を眺めながら100Km走りたいと言うのであればブロンプトンを
    という選択ではないでしょうか?
    疲れないというのも肉体面と精神面、両方がありますものね。
    こんないい加減な返答で宜しいでしょうか?

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  3. これは良い所ですね^^
    のんびり散策出来そうで、東京とは別世界のようです。写欲も湧いてきます(笑)
    石段の中の石臼が面白いですね、何で石臼なんでしょう。
    私もこんな空間好きなのですが、さすがに近くには無いですね^^;
    京都に行きたいんですが、なかなか実現出来ません。

    TSRのフロントバックが気になるんですが、どこのですか?

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  4. ゆるポタ さん

    こんばんは
    何時もコメントを頂きありがとうございます。

    >のんびり散策出来そうで、東京とは別世界のようです。写欲も湧いてきます

    一般の東京のイメージとは異なりますよね。
    でも私の住んでいる所からそう遠くない場所にあるんですよ。
    写欲湧きますか?是非いらしてください。ご案内致します。
    また私がそちらに行った際は宜しくお願い致します(笑)

    >石段の中の石臼が面白いですね、何で石臼なんでしょう。

    この場所(美術の森)の近くに小金井神社という神社がありまして
    そこにはこの辺りで使われていた石臼を積み上げて造った石塚があります。
    戦後使われなくなった石臼の供養塔のようなものです。
    古くから生活の道具として使われてきた石臼に対する思い入れがあるようです。

    >京都に行きたいんですが、なかなか実現出来ません。

    京都も素晴らしいですが是非こちらにもいらしてください(笑)

    >TSRのフロントバックが気になるんですが、どこのですか?

    ギルベルソーのフロントバックです。(リアも同じ)
    TSR用のカメラバックとして丁度良いサイズで
    造りも丁寧なので気に入って使っています。
    職場の同僚からも揶揄されるのですが、恥ずかしながら鞄好きなのです。

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