ロトチェンコ+ステパーノワ(東京都庭園美術館)



 梅雨入りをして間もない晴れの日、JR線 目黒駅に近い東京都庭園美術館で「ロトチェンコ+ステパーノワ」(ロシア構成主義のまなざし)展が開催されていると聞いて急いで行ってきました。


 東京都庭園美術館は1933年(昭和8年)に朝香宮邸として建てられた建物を1983年(昭和58年)から美術館として公開しています。当時、ヨーロッパで流行していたアール・デコ様式を取り入れたモダンな建物、そして手入れが行き届いた大きな庭のある空間は正に都会のオアシス。何時訪れても癒やされます。


 日本の美術館は何故写真撮影が禁止なのか?不思議に思います。東京都庭園美術館も例外ではありません。建物の内部にはイタリアのディフェンスのようにガードマンが沢山いて不届き者に目を光らせています。従って随所に凝った装飾が施されている庭園美術館の内側を残念ながらお見せすることは出来ません。


 今回の展覧会「ロトチェンコ+ステパーノワ」について少し触れおきましょう。展覧会を見る前は個人的にロトチェンコの写真に1番関心があったのですが、ロトチェンコそしてステパーノワ、2人の旺盛な制作意欲に先ず圧倒されました。そして絵画、デザイン、 建築、写真、その制作範囲が広いことにも驚きました。特に印象的だったのは2人が手掛けたファッションデザイン。労働者達が着るための作業着はまるで舞台衣装のようで、反対に俳優が着る舞台衣装は作業着のようなのです。これは意図したものだったのか?2人の制作思想を象徴するようで興味深く眺めました。


 ロトチェンコそしてステパーノワ、2人の斬新な表現は現在も大きな影響力を持っていることを改めて認識すると共に、共産主義のイデオロギーに理想と創造の活力を求め、そしてまた翻弄されたロシアの芸術家達の痛々しいほどに実直で純粋な姿に感銘を受けた展覧会でした。


 内部の撮影が禁止されている東京都庭園美術館ですが、それでも見てみたいと思った方も多いことでしょう。それでは最後に懐かしいく、そしてちょっと切ないこの曲をバックに庭園美術館の室内の様子を少しだけご案内致します。

コメント