1972年にリリースされたキース・クロス&ピーター・ロスのアルバム「ボアード・シヴィリアンズ」はイギリスの大衆音楽好き、特にフォークやプログレッシブ・ロックに興味がある人達の間では隠れた名盤として知られているようです。偶然ですが先日のエープリル・ フールと同様に彼らも1枚だけしかアルバムを残していません。建物を挟んで2人の後ろ姿を鏡に映したように左右対称に配したアルバムジャケットも印象的で1度見たら忘れられません。
音楽に関してもまともな知識がないので何時ものように以下は私のいい加減な所感です。「ボアード・シヴィリアンズ」はクロスとロス、2人の繊細な歌とアコースティックギターの音を主軸にしていますが、当時流行っていた所謂イギリスのトラッドフォーク(伝承音楽)と呼ばれる音楽からの影響は強く感じません。アメリカ的なフォークから強い影響を受けながら、それとも異なる多様な音楽性を持つた(イギリス的な)フォーキーでプログレッシブな音楽と言う表現が当て嵌まると思います。
ご存知のようにイギリスの大衆音楽は50年代のフォークリバイバルを経て、60年代後半になるとのバーズやジェファーソン・エアプレインのようなアメリカのフォークロックと呼ばれる音楽から影響を受けたバンドが次々と登場しました。中でもフェアポート・コンベンションはこの分野で大きな影響力を持った中心的な存在です。このバンドから更に複数のバンドが生まれた為、イギリスのエレクトリックフォーク(イギリス伝承音楽そしてイギリス的なアメリカンフォーク)のファミリートゥリー(フェアポートファミリー)等と表現されます。
「ボアード・シヴィリアンズ」には上記フェアポート・コンベンションの歌手だったサンディ・デニーが夫のトレヴァー・ルーカスと共に結成したバンド、フォザリンゲイのカバー曲「ピース イン ザ エンド」が収録されています。クロス&ロスは原曲よりも軽快(アメリカン)な演奏をして彼らのオリジナル曲と違和感なく聞けます。
サンディ・デニーがつけたフォザリンゲイというバンド名はイングランド中部ノーサンプトンシャーに建てられていた城の名前からとられています。この城は1587年にスコットランド女王、メアリ・スチュアートが処刑された城として知られており、フェアポート・コンベンションのアルバム「ホワット・ウィ・ ディド・オン・アワ・ホリデイズ」にはメアリ女王について歌ったサンディ・デニーの曲「フォザリンゲイ」が収録されています。フェアポート・コンベンション脱退後、自身のバンドにもフォザリンゲイと名づけたことから分かるようにサンディ・デニーの女王メアリへの想いはかなり強かったようです。恐らくサンディは時代に翻弄され数奇な運命をたどることになった女王メアリを1人の女性として捉えていたのでしょう。
キース・クロス&ピーター・ロスの 「ボアード・シヴィリアンズ」には9曲が収められており、キース・クロスが4曲、ピーター・ロスが3曲、2人の共作が1曲、残りは先のフォザリンゲイのカバー「ピース イン ザ エンド」と2人の曲がほぼ半々に収録されています。キースは繊細で美しい曲を、ピーターはアメリカンで少しアーシーな曲を披露しています。このアルバムの特徴は個性ある2人の曲が交互に並び、気持ち良く流れていくところにあります。
変わったところでキース・クロスの「ストーリー トゥ フレンド」はキャラバンのメンバー、ジミー・ヘイスティングのフルートや後半にはアグレッシブなサックスの演奏が入った他の曲とは少し趣の異なる大作で印象に残ります。この曲はピアノとコンガが入ったラテンアメリカ風で、曲の構成はプログレッシブ・ロック的ですが当時のプログレとは少し異なるクロスオーバーな音楽です。むしろ後のアシッドジャズにも通じるような更に極端な例えで言うとジャミロクワイ辺りが演ってもおかしくないような音になっています。またこの曲はアルバム「ボアード・シヴィリアンズ」の柱のようなもので単調さを回避し(ボアードではない)アルバム全体を引き締めることにも成功しているように思います。アルバムの最後を飾る2人の共作「フライ・ホーム」は繊細なアコーステックギターの音で始まり、2人のボーカルに弦楽器が絡んでまるで霧の中へ入って行くような不思議な浮遊感に包まれます。曲の終盤がオーケストレーションで終わるアイディアも面白く、同時に1枚のアルバムを聞き終えた充実感が残ります。
60年代中頃から70年代初期の大衆音楽は面白いものが沢山あります。特にこの時期に生まれたイギリスの音楽は多種多様で、バンドの数も多く、また何れも優れてハズレが少ないことが特徴です。私には今でもこの時代の音楽は光輝く宝の山のように見えるのです。
音楽に関してもまともな知識がないので何時ものように以下は私のいい加減な所感です。「ボアード・シヴィリアンズ」はクロスとロス、2人の繊細な歌とアコースティックギターの音を主軸にしていますが、当時流行っていた所謂イギリスのトラッドフォーク(伝承音楽)と呼ばれる音楽からの影響は強く感じません。アメリカ的なフォークから強い影響を受けながら、それとも異なる多様な音楽性を持つた(イギリス的な)フォーキーでプログレッシブな音楽と言う表現が当て嵌まると思います。
ご存知のようにイギリスの大衆音楽は50年代のフォークリバイバルを経て、60年代後半になるとのバーズやジェファーソン・エアプレインのようなアメリカのフォークロックと呼ばれる音楽から影響を受けたバンドが次々と登場しました。中でもフェアポート・コンベンションはこの分野で大きな影響力を持った中心的な存在です。このバンドから更に複数のバンドが生まれた為、イギリスのエレクトリックフォーク(イギリス伝承音楽そしてイギリス的なアメリカンフォーク)のファミリートゥリー(フェアポートファミリー)等と表現されます。
「ボアード・シヴィリアンズ」には上記フェアポート・コンベンションの歌手だったサンディ・デニーが夫のトレヴァー・ルーカスと共に結成したバンド、フォザリンゲイのカバー曲「ピース イン ザ エンド」が収録されています。クロス&ロスは原曲よりも軽快(アメリカン)な演奏をして彼らのオリジナル曲と違和感なく聞けます。
サンディ・デニーがつけたフォザリンゲイというバンド名はイングランド中部ノーサンプトンシャーに建てられていた城の名前からとられています。この城は1587年にスコットランド女王、メアリ・スチュアートが処刑された城として知られており、フェアポート・コンベンションのアルバム「ホワット・ウィ・ ディド・オン・アワ・ホリデイズ」にはメアリ女王について歌ったサンディ・デニーの曲「フォザリンゲイ」が収録されています。フェアポート・コンベンション脱退後、自身のバンドにもフォザリンゲイと名づけたことから分かるようにサンディ・デニーの女王メアリへの想いはかなり強かったようです。恐らくサンディは時代に翻弄され数奇な運命をたどることになった女王メアリを1人の女性として捉えていたのでしょう。
キース・クロス&ピーター・ロスの 「ボアード・シヴィリアンズ」には9曲が収められており、キース・クロスが4曲、ピーター・ロスが3曲、2人の共作が1曲、残りは先のフォザリンゲイのカバー「ピース イン ザ エンド」と2人の曲がほぼ半々に収録されています。キースは繊細で美しい曲を、ピーターはアメリカンで少しアーシーな曲を披露しています。このアルバムの特徴は個性ある2人の曲が交互に並び、気持ち良く流れていくところにあります。
変わったところでキース・クロスの「ストーリー トゥ フレンド」はキャラバンのメンバー、ジミー・ヘイスティングのフルートや後半にはアグレッシブなサックスの演奏が入った他の曲とは少し趣の異なる大作で印象に残ります。この曲はピアノとコンガが入ったラテンアメリカ風で、曲の構成はプログレッシブ・ロック的ですが当時のプログレとは少し異なるクロスオーバーな音楽です。むしろ後のアシッドジャズにも通じるような更に極端な例えで言うとジャミロクワイ辺りが演ってもおかしくないような音になっています。またこの曲はアルバム「ボアード・シヴィリアンズ」の柱のようなもので単調さを回避し(ボアードではない)アルバム全体を引き締めることにも成功しているように思います。アルバムの最後を飾る2人の共作「フライ・ホーム」は繊細なアコーステックギターの音で始まり、2人のボーカルに弦楽器が絡んでまるで霧の中へ入って行くような不思議な浮遊感に包まれます。曲の終盤がオーケストレーションで終わるアイディアも面白く、同時に1枚のアルバムを聞き終えた充実感が残ります。
プログレとかって全然聞いたことが無いです。
返信削除ピンクフロイドとかほんの少しだけ聞いたことがある程度ですね。
それにしてもmincoroさんの音楽の知識の豊富さには頭が下がります。
A2C 様
返信削除こんにちは
何時もコメントを頂き有難うございます。
僕もプログレは全然知りません(^_^;
ピンクフロイドは僕もシドバレの頃を少しだけという感じですか・・・。
音楽の知識はかなり怪しいです。浅く偏っています。
多少プログレは聞きます。
返信削除ブライアン・オーガーなら昔から好きです。
JAZZっぽいプログレはかっこいい。
70年代の前後は特に。
このバンドは知りませんでした。
kirima 様
返信削除こんばんは
何時もコメントを頂き有難うございます。
ブライアン・オーガーって、シブイですね!
スライ&ザ・ファミリー・ストーンのカバーも演っていましたね。
詳しく知らないのですが・・・。
この時代はギターよりもオルガンがバンドの花形でしたね。
プロコル・ハルムの「青い影」のようにオルガンをフィーチャーしたヒット曲もありました。
久しぶりにハモンドオルガンのサウンドが聞きたくなりました。